スタッフブログ
住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、プラスアルファの金額を臨時に返済することで、住宅ローンの総返済額を圧縮することを指します。
住宅ローンを利用してる方の多くが、繰り上げ返済を上手く活用し、
長期に渡る住宅ローンの負担をできる範囲で軽減したいと考えているのではないでしょうか。
住宅ローンの繰り上げ返済には、総返済額を圧縮できる一方で、デメリットも存在します。
住宅ローンの繰り上げ返済を効率よく利用し、そのメリットを最大限に享受するためには、
メリットだけではなく、デメリットについてもしっかり把握した上で利用することが大切といえるのです。
そこで今回は、住宅ローンの繰り上げ返済に焦点を当て、繰り上げ返済を利用する際に知っておきたいメリットとデメリットをお伝えします。
◆住宅ローンの繰り上げ返済は2種類
住宅ローンの繰り上げ返済は、大きく分けて2種類「全額繰り上げ返済」と「一部繰り上げ返済」があります。
「全額繰り上げ返済」とは、住宅ローンの返済期間中に残高を全額返済すること。
「一部繰り上げ返済」とは、毎月の決まった返済とは別に、先々返済する元金の一部を前倒しで返済すること。
ちなみに「繰り上げ返済」とは、一般的に「一部繰り上げ返済」を指すケースがほとんどです。
さらに一部繰り上げ返済は、「期間短縮型」と「返済額軽減型」に分けることができ、それぞれ以下の違いがあります。
◆期間短縮型
毎月の返済額は変えずに、返済期間を短くする方法です。
総返済額をできるだけ減らしたい人や、早く住宅ローンを完済したい人におすすめです。
◆返済額軽減型
返済期間を変えずに、毎月の返済額を減額する方法です。
毎月の返済額を減らしたい人におすすめです。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」、どちらの方法でも、住宅ローンの総返済額を圧縮することが可能です。
ただし、「期間短縮型」の方が、より多く住宅ローンの総返済額を減らすことができます。
一部繰上げ返済を利用する際は、「期間短縮型」「返済額軽減型」それぞれの特徴を確認した上で、
ご自身の家計に合った返済方法を選ぶと良いでしょう。
◆住宅ローンの繰上げ返済 3つのメリット
はじめに、住宅ローンの繰上げ返済を利用するメリットをご紹介します。
- メリット① 住宅ローンの総返済額を圧縮できる
繰上げ返済を行うと、元金にかかる利息の返済が必要なくなるため、
住宅ローンの総返済額を圧縮できます。
当初予定していたよりも、住宅ローンの総返済額を減らせる点は、
繰上げ返済を利用する最大のメリットといえるでしょう。
ちなみに、住宅ローンの借入れ当初は、返済額に占める利息の割合が大きく、
総返済額の圧縮効果が特に高くなるので、繰上げ返済を早く行えば早く行うほど、効果が高まります。
- メリット②
住宅ローンの完済時期を早めることができる
「期間短縮型」の繰上げ返済を利用し、住宅ローンの完済時期を早めることができる点も
繰上げ返済を利用する大きなメリットです。
例えば、35歳で35年間の住宅ローンを組んだ場合、完済するのは70歳です。
65歳で定年を迎えたと仮定すると、5年間ローンが残ってしまいます。
このような場合でも、繰上げ返済を利用して、返済期間を短縮すれば、65歳までに完済することが可能です。
老後に住宅ローンの返済負担を心配する必要がなく、生活にゆとりを持つことができます。
メリット③
住宅ローン返済のプレッシャーを軽減できる
住宅ローンは、返済額が大きいだけではなく、返済期間も長期に渡るため、返済に精神的な負担を感じる人も多いでしょう。
繰上げ返済を利用すれば、住宅ローンの総返済額を圧縮できることに加え、返済期間を短くすることが可能です。
住宅ローン返済の負担を軽減し、精神的に余裕が持てる点も、
繰上げ返済を利用する上で、チェックしておきたいメリットの一つです。
◆住宅ローンの繰上げ返済 2つのデメリット
住宅ローンの総返済額圧縮や、返済期間の短縮等、様々なメリットがある一方で、
繰上げ返済にはデメリットもあります。
繰上げ返済を利用する際は、メリットだけではなく、デメリットについてもしっかり把握しておきましょう。
繰上げ返済を利用する際に知っておきたい2つのデメリットをご紹介します。
デメリット① 過度な繰上げ返済は家計を圧迫する
繰上げ返済を行うと貯金残高が減るため、過度に行うと
「病気やケガでまとまったお金が必要になった」「収入が減った」等の問題が発生した際、
資金繰りに困り、家計を圧迫する可能性があります。
この点は、繰上げ返済を利用する際に注意したいポイントの一つです。
最低限の生活資金や、臨時で必要になる可能性があるお金を確保した上で計画的に繰上げ返済を行い、
一定の余裕を確保しておくことが大切です。
ちなみに、確保しておきたい金額は、家計の状況によって異なりますが、
生活費3ヶ月分(※1家4人であれば100万円前後)を一つの目安と考えておくと良いでしょう。
また、定期的に繰上げ返済を利用するのであれば、繰上げ返済にかかる手数料を考慮することも大切です。
繰上げ返済手数料は、住宅ローン商品を取り扱う金融機関によって異なるため、
事前にしっかり確認し、繰上げ返済を積極的に行った結果、手数料が多くかかってしまった、
ということが無いように注意しましょう。
数ある金融機関の中には、「一部繰上げ返済手数料無料」としているところもあるため、
繰上げ返済を定期的に利用したいと考えている場合は、手数料をしっかり比較し、
お得度の高い金融機関を選ぶのがおすすめです。
デメリット②
住宅ローン控除のメリットを最大限受けられないケースも。
住宅ローン控除(=住宅借入金等特別控除)とは、住宅購入者向けの減税制度で、最大10年間、
年末時点での住宅ローン残高の1%分を所得税・住民税から減額できる制度のことです。
一般的な住宅の場合、控除の上限は年40万円の減税が適用されるため
(※長期優良住宅・低炭素住宅の場合は年50万円)、
住宅ローン控除を利用することで、最大400万円分(※年40万円×最大10年間。長期優良住宅・低炭素住宅の場合は最大500万円)、
本来支払うべき税金を減らすことができます。
その一方で、繰上げ返済を積極的に行った結果、
住宅ローン控除を最大限に受けられなくなる可能性がある点には注意が必要です。
繰上げ返済を行いつつ、住宅ローン控除も利用したいと考えている場合は、
下記の点をチェックしておきましょう。
■住宅ローンの返済期間に注意する
住宅ローン控除の適用条件の中には、「住宅ローンの返済期間が10年以上であること」という項目があり、
繰上げ返済(※期間短縮型)を行い返済期間が10年未満になってしまった場合、住宅ローン控除は打ち切られてしまいます。
住宅ローン減税を利用したい方は、当初の予定では住宅ローンの返済期間が10年以上だったものの、
繰上げ返済(期間短縮型)を利用した結果、返済期間が10年未満になったということが無いよう、
繰上げ返済を利用する際は、住宅ローンの残りの返済期間に注意しましょう。
■「繰上げ返済」と「住宅ローン控除」、
どちらがお得か比較する
住宅ローン控除は、年末時点での住宅ローン残高の1%分の税金を減額する制度です。
つまり、住宅ローン金利が1%以上の住宅ローンを組んでいる場合、
住宅ローン控除の減額分よりも、繰上げ返済の利息軽減効果の方が高くなるため、
借入れ当初から繰上げ返済をした方がお得になります。
その一方で、1%よりも低い金利で住宅ローンを組んでいる場合は、
住宅ローン控除を利用した方が高い減額効果が期待できるため、
住宅ローン控除の効果が切れた段階で、まとめて繰上げ返済を行った方がお得度が高いといえるでしょう。
住宅ローンの借入れ額や金利等によって、繰上げ返済・住宅ローン控除のどちらを優先した方がお得なのかが変わってきます。
住宅ローンの借入れ当初から、積極的に繰上げ返済を利用したいと考えている方は、
繰上げ返済を利用した場合と、住宅ローン控除を利用した場合とを比較し、
どちらを優先した方がお得なのかをシミュレーションした上で、よりお得度の高い方を選択しましょう。
◆まとめ
住宅ローンの繰上げ返済を利用するメリットとデメリットについて解説しました。
住宅ローンの繰上げ返済を効率よく行えば、総返済額の圧縮や、完済時期の短縮等、
様々なメリットを享受することができます。
その一方で、繰上げ返済にはいくつかデメリットもあるため、
繰上げ返済を利用する際は、メリットだけではなく、デメリットについてもしっかり把握した上で活用することが大切です。
住宅ローンを組み、繰上げ返済を利用したいと考えている方は、
今回御伝えしたことをしっかりチェックし、自分に合った住宅ローンを見つけましょう。