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家の中の暑さは、庭の作りと大いに関係があります。
特に気を付けたいのがウッドデッキを設置する場合です。
夏になると暑くて庭に出られないということが
起こる場合があります。
そこで夏でも涼しい庭にする、
快適ガーデンのアイデアをお伝えします。
◆涼しい庭はウッドデッキから
ひと昔前によく見かけた庭と言えば、一面に芝生を敷き詰め、
その周囲に低木や大木などの庭木をたくさん植える
といったプランでした。
せっかくの庭なのだから、緑をいっぱいにしたい
という思いがあったのでしょう。
所せましと様々な木を植えたものです。
最近は、芝生だったところは、
ウッドデッキやタイル、レンガになり、
樹木の種類もかなり絞ったデザイン目立ちます。
風通しがよさそうで、おしゃれではあるのですが、
緑の面積はかなり減った印象です。
また、ガーデニングプランでも草むしりや落ち葉の掃除が大変、
害虫駆除に手間が掛かる、蚊がわきやすいなどの理由で、
芝生や花壇、庭木を減らすケースが増えているそうです。
しかしこのようなガーデニングプランが、
家の中の暑さの原因になっている可能性があります。
特に多いのが、夏になるとウッドデッキが暑い、
庭に出られないという声です。
そこで実際のところ、炎天下のウッドデッキは
どれくらいの温度になっているのか、
放射温度計を使った例を紹介します。
放射温度計とは物の表面温度を測ることができる機械で、
炎天下のウッドデッキの温度を測りました。
気温は31度に対して、なんと60度を超えていました。
ちなみに床暖房の表面温度は約30度ですから、
いかに暑いかよくわかります。
◆庭が暑いと、家の中も暑くなる...
実はこのような庭の状況は、都市部で起きている
ヒートアイランド現象とよく似ています。
ヒートアイランド現象とは、郊外に比べて都市部の気温が
高くなることを言い、その原因のひとつに、
自然の土や緑を人工物で覆ってしまっていることがあげられます。
自然の土や緑は、水蒸気の放出によって
地面の表面温度を下げてくれます。
しかし人工物で覆われた地面は、水蒸気の放出が妨げられるので、
地面の温度を下げることができません。
しかもその人工物は太陽光によって熱せられることで蓄熱し、
その熱が大気を再加熱し、更に気温を上昇させます。
草木の生えた地面は、強い日差しを受けても、
水蒸気の蒸発で表面温度はそれほど上がらず、
その周辺では涼しい風が吹きます。
しかし人工物で覆われた地面は表面温度が上昇するので、
周辺がとても暑くなり、吹く風も涼しくないというわけです。
そして蓄熱した人工物が発する熱は「輻射熱」もしくは「放射熱」と呼ばれ、
これは床暖房やパネルヒーターと同じ原理です。
いくらエアコンを付けて室温を下げようとしても、
庭で巨大な床暖房があるような状態では、
家の中も涼しくならず、光熱費がかさんでしまう場合があります。
庭は風景というだけでなく、室内環境に大きな影響を与えています。
◆涼しい夏の庭づくりは「日本古来の知恵」を参考に
では家の中を涼しくする庭とはどんな庭でしょうか。
日本古来の庭づくりには、夏を涼しく過ごすための工夫が凝らされていました。
江戸時代の大名屋敷の庭園には、自然を模した山や森や池が作られ、
心和む空間であったとともに、庭の中で自然な対流が生まれ、
真夏の暑い日でも水辺に立つと、そよそよと涼風を感じられたと言います。
日本庭園では定番の苔も、地面の温度を下げるのに役立っていました。
昔の昭和の日本の民家では、庭に小さな池を作り、
まわりに草木を植えて木陰にし、
その水を冷たく保つ工夫をしている家が多かったです。
木陰や冷たい水辺を抜けて吹いてくる風は気持ちよく、
見た目にも涼感たっぷりでした。
また池には縁日ですくった金魚を入れ、ボウフラが沸くのを防ぎ、
冬になれば水を抜き、中に寒さに弱い植木鉢を入れて
ビニールをかぶせて簡易温室にする、というような生活の知恵もありました。
このような知恵は、今の暮らしの中にも
活かすことができます。
そこで現代の庭でも取り入れやすい、
暑い夏を涼しくする庭のポイントをご紹介します。
◆ウッドデッキに直射日光はNG!
暑い夏を涼しくするのポイント1つめは、人気アイテムである
ウッドデッキの対策です。
夏の直射日光が当たったウッドデッキの表面温度は
60度を超えることもあります。
これでは庭に巨大な床暖房があるようなものですから、
庭が暑いのはもちろん、家の中まで暑さを感じて当然です。
夏を涼しくする第一歩は、ウッドデッキの表面温度を上げないことです。
先ほど炎天下では60度を超えていた
ウッドデッキの表面温度ですが、
木陰になった部分で計測すると33.4度でした。
つまり涼しい庭にするために大切なことは、
ウッドデッキに直射日光を当てずに日かげにしておくことです。
これはレンガやモルタルを敷いた床面も同じです。
開閉式のオーニングなどの日よけを取り付けておけば、
それだけでも涼しい庭にすることができ、
家の中でも涼しく過ごすことができるようになります。
◆木陰づくりに人気な落葉樹は「ハナミズキ&ヒメシャラ」
庭を涼しくする2つめのポイントは、
庭に落葉樹を植えて木陰を作ることです。
落葉樹なら暑い夏は葉が茂って木陰を作ってくれ、
冬は葉が落ちるので日差しを遮ることがありません。
木陰を抜けて吹いてくる風は涼やかで気持ちがいいものです。
我が家のイメージアップを図る
シンボルツリーとして人気があるのは
ハナミズキやヒメシャラなどです。
◆涼しい庭づくりに欠かせない水辺づくり
暑い夏を涼しく過ごせる庭にするポイント3つめは、庭に水辺を作ることです。
手軽に涼感を演出できるのが、ビオトープです。
ビオトープとは水を張った大き目の鉢の中に、
水草やメダカなどを入れて、自然な環境を再現する空間のことです。
鉢の中で自然循環を目指します。
ただし炎天下にそのまま置いておくと、
あっという間にバランスが崩れて水が腐ります。
ビオトープにも日よけを付けて、日陰にしておきましょう。
簡易な池を作るなら、成型池を地面に埋め込む方法もあります。
こちらはろ過装置などの水質管理が必要になるため、
少し大掛かりになります。
どちらにしても、水辺の周辺は木を植えて木陰にし、
水を冷たく保つ工夫をしておくことが涼しさの秘訣です。
◆保水タイルを敷いて朝夕に打ち水を!
4つめのポイントは、地面を冷やす工夫です。
植物の力は偉大ですから、芝生を植えておくのが
涼しい庭にするコツですが、そうはいっても
コンクリートのベランダやテラスに
芝生を敷くのは難しいもの、
また芝刈りや草むしりなど管理も大変です。
そんな時は、保水タイルを敷く方法があります。
保水タイルとは名前の通り、保水性があるタイルで、
打ち水+保水効果+気化熱によって
表面温度を下げる機能があります。
ただし炎天下に打ち水をすると、
湿度が上がってかえって不快になることがあります。
打ち水は、朝夕の気温が下がった時に行いましょう。
◆屋外の塗装部には遮熱塗料を
暑い庭を涼しくするポイント5つめは、遮熱塗料を使うことです。
例えば手すりや物置などは、直射日光が当たることで蓄熱し、
庭を更に暑くする原因になります。
そんな時は、表面温度を抑制する機能を持った
遮熱塗料を使用することで、約10度ほど下げることができます。
◆快適な夏の過ごし方は涼しい庭づくりから
このように家の中の暑さは、庭のつくりに大きく左右されます。
いくらエアコンの設定温度を下げても、庭に暑さの原因があると、
なかなか涼しくなりません。
まずは日差しのコントロールをして、夏が涼しい庭にしましょう。
それでは、また!!